オリコンに換わる新しいヒットチャートに?ビルボード・ジャパン・ホット100
ヒット曲って何だっけ??
昔から若干チャートマニアの気質があった僕は、ヒット曲を探す時、毎週発表されるオリコンランキングー特に最新のヒットランキングが発表される火曜日の朝の速報、そして火曜日の夜の正式な週間ランキング発表ーを楽しみの一つとしていました。
しかし、音楽業界が「曲」や「CDシングル」よりも「着うた」に重きを置くようになった2005-2007年頃からでしょうか。オリコンだけでは満足できなくなりました。
この2005-2007年頃からCD以外の手段で音楽を聴く機会が少しずつ増えてきて、しかしオリコンで発表されるランキングは何か違う気がする。。。
きっと世間的にもそんな「感覚」があって、それは今も続いているんじゃないかなと感じます。
オリコンのシングルCDランキングが世間のヒット感覚と剥離し始めて10年余り。
現在のオリコンはヒットチャートというより、売上枚数(あるいは握手券)の市場調査会社というポジションに甘んじています。
そんな世間的に「剥離」が感じられる中も音楽業界では、宇多田ヒカルの「Flavor Of Life」(2007年)や、GReeeeN「愛唄」(2007年)、木村カエラの「Butterfly」(2009年)などCD以外の媒体であるデジタル・ダウンロードによる、など皆がたしかに!と感じるヒットが続きますが、オリコンではいずれの「ヒット」もしくは「大ヒット」もチャートの性質上、無視され続ける状態が続きます。
(オリコンの名誉の為に補足:オリコンは2004年から2008年までダウンロード数を集計した「トラックスチャート」を公開していましたが、他国のメインチャートが行っていたような既存のCDチャートとの「合算、統合」という取り組みを排し、あくまで別ランキング扱い、またオリコン自身も大きく扱わなかったため、世間に認知されぬまま2008年に終了しています)
(補足2:日本レコード協会もまた現状を打破すべく、2009年にRIAJ有料音楽配信チャート :Wikipediaという着うたフルの日本国内のダウンロード数を集計(iTunesは対象外)したチャートを始めますが、これも認知度が上昇せぬまま、2012年7月を持って終了)
そんな中、最近2016年に入って『めざましテレビ』や『ZIP!』『王様のブランチ』『ミュージックステーション』などで
新たな音楽ランキングの指標として取り上げられている音楽チャートがあります。
それが「ビルボード・ジャパン・ホット100」です
Billboard Japan Hot 100(ビルボード・ジャパン・ホット・ワンハンドレッド、ビルボード・ジャパン・ホット・ひゃく)は、日本の音楽チャート[1]。Billboard JAPANのソング総合チャートである。米国の週刊音楽雑誌『ビルボード』の刊行会社より独占ライセンスを得て阪神コンテンツリンクが集計している[2][3]。
CDの売り上げ枚数のみでランキングを作成するオリコンとは異なり、多様な音楽の視聴スタイルを反映した複合チャートが特徴である。売り上げ枚数に加えて、ダウンロード数・CDからパソコンへの取り込み回数・YouTubeでの再生回数・ラジオでのオンエア回数・曲に関するツイート数などが加味されている。Billboard JAPANでは楽曲の「社会への浸透度を計る」ことをチャートの理念として掲げている[4]。
CD売上以外も含めダウンロードや動画再生回数など複数の観点からチャートが構成されています。
何気に2008年からスタートしていて、少なからず歴史があります。詳細はウィキペディアに譲ります。。笑
チャートの仕組みは・・・?
Billboard Japan Hot 100は、上記のとおり複数の視点からチャートが創られています。
- CDセールス - サウンドスキャンジャパンが提供する、タイトル単位(初回盤等複数のバージョンがある場合はすべてを合算)の推定売上枚数
- ラジオ・エアプレイ - プランテックが提供する、全国33局のAM・FMラジオ局における楽曲の放送回数にエリア別の人口と平均聴取率を加味したもの
- デジタル・ダウンロード - GfKジャパンが提供する、日本国内のデジタル・ダウンロード数
- オンデマンド - YouTube、GyaO!が提供する、日本国内における動画再生回数の合算集計回数
- ストリーミング - シンクパワーが運営する、歌詞表示サービス「プチリリ」による歌詞表示回数から推計される日本国内のストリーミング数
- ツイッター - ソーシャル・メディア、ネット上での楽曲動向をフォローする指標。NTTデータが提供する、アーティスト名と楽曲名の1ツイート内での同時つぶやき数の集計
- ルックアップ - CDレンタルや友人間のCD貸し借りをフォローする指標。左記利用状況において、実際にGracenoteによるCDDBの楽曲情報にアクセスし、CDがパソコン上に読み込まれた数を集計
色んな角度からチャートが創られていて新しい!!
世間のヒット感覚に応えている?
例えば、最近というより今週は、ピコ太郎の「PPAP ペンパイナッポーアッポーペン」がJapan Hot 100チャートの1位です。
チャート推移的にも初登場4位>3位>2位>3位>1位と5週間という期間をかけて1位に登りつめています。
圧倒的な動画再生回数でチャートポイントを稼いで首位を獲得している様子。
この推移はビルボードジャパンのChart Insightページで確認できます。
そのほか、『逃げるは恥だが役に立つ』主題歌でドラマエンディングの恋ダンスでも話題の星野源「恋」もヒットを体感できるチャート推移をしています。
言葉よりも見たほうが早い!ということでえいっ!!
2016年9月26日付のチャートにて13位でデビューした後、
9位>9位>2位>1位>1位>そして今週総合2位と推移しています。
オリコン然り、毎週めまぐるしくチャートの順位が上下するなかで、今週こそ2位ですが、2週連続で1位を獲得している星野源すごい!!と思います。
特に星野源はツイッターやダウンロード、動画再生回数など幅広い分野でポイントを稼いで「世間に受け入れられている」ことがわかります。
何より、個人的にはピコ太郎然り星野源然り、世間での「ヒット感覚」にすごく近い気がしています。
CD複数枚商法の影響力を強く受けてしまう、チャートの欠点も・・。
日本の音楽業界では、ファンの収集欲、コンプリート欲を刺激するいわゆるシングルCDの「複数枚商法」が蔓延しています。
一見、世間のヒットを反映しているかに見えるビルボードジャパンチャートですが、複数枚商法にチャートが強く影響を受けるという欠点も存在します。
なぜならば、複数枚購入されたシングルCDをそのままチャートに反映させているからです。そのアイドル系の「カップリングの曲違い」や「特典違い」もそのままチャートに組み込まれています。
その結果、複数枚商法に強いアーティストのCDシングルリリース週は、爆発的なセールスポイントを稼いで総合チャート1位を獲得>次の週にはトップ10圏外まで急落するという事態が発生しています(これはオリコンも同じです)。
本来は「ヒットしている」のならば、もっと皆が口ずさめて、もちろん知っていて、それがチャート上「トップ10に入ることの価値」であったはずなんです。
僕らは一体「どこ」からヒット曲を探せば、見つければ、出逢えばいいのだろう?
急落が必ずしも悪いこととは言いません。ただ、そういった楽曲がトップ10に入る=ヒット扱いになるのは少し違うんじゃない?と僕は思います。
複数枚商法について、ビルボードジャパンに改善してほしいこと
ビルボードジャパンに提言したいこと。
現在はCDシングルとして売り上げたものをそのままチャートに組み込んでいるけれど、例えば
- 複数の型番/形態で発売されたものは総売上枚数から型番/形態分を単純に割ってチャートに組み込む
- 複数形態のうち、一番売り上げが多いものもしくは低いものをチャートに組み込む
こんな風に少しでも複数枚商法のチャートへの影響力が弱まるような取り組みをお願いしたいです。正直なところ、方法は何でもいいです。
昔はチャートを見るたびにワクワクしていました。ビルボードジャパンがまたそんな気持にさせてくれることを願ってやみません。
まだまだ日本のチャートも捨てたもんじゃないかも!?
2017/03/15 4:10更新