Can I Reborn Again?
歯医者の治療を終えて、近くにあるスターバックスに入った。
歯医者についてのイメージは子供の頃から更新されていない。
「怖い」
その感情にずっと支配されていた。大人になってもその感情は全く更新される気配はなかった。そんな中でも僕のガチャ歯は実際のところ虫歯に侵食されていたようで、鏡を見ては、決して海苔でも塩昆布でもごはんですよでもない黒いものが右下の歯に付着している事実から目を背け続けていた。
でも、時間は待ってくれない。遂に歯が痛くなって、あれだけ恐れていた歯医者に駆け込むことになった。
運の悪いことに歯に激痛が走ったのは確か土曜日だった。殆どの歯医者は休み。なんてことだ。
薬局で買った痛み止めを飲んでもやはり痛いものは痛い。
でもこの御時世、ネット検索すれば土日もやっている歯医者はやはりあった。ネットで見つけたレビューが良さそうな歯医者を予約した。本当は空いていればどこでも良い気持もあった。でも激痛の中でも「どうせ行くのなら評判が良いところに」そんな気持はあった。虫歯を放置して見て見ぬふりをしていた自分が一番悪いのに欲深くマウスをスクロールしながら選んだ。
結論としては、行って良かった、と心から思っている。
虫歯はかなり進行していて、神経を取り除き、銀歯を嵌めることにはなったけれど、他にも軽度、中度の虫歯を発見することも出来た。その歯も現在治療を進めている。
他の歯の健康は、1本の虫歯を通じて辛うじて維持されたのだ。
歯医者の近くには、あまり混まないスターバックスがある。歯医者の後に行くスターバックスは特別な気分になる。
秋の空、よく晴れた昼間の生い茂る緑の木々、心地よい風、ソイラテ、文庫本。
朝井リョウの『もういちど生まれる』という本を読んでいる。
あと半分も頁は残っている。続きを読もう。